サ‼︎ アニメ2期BD 5巻 封入特典『RED GEM WINK』について

はじめに

今回はラブライブ!サンシャイン‼︎ アニメ2期BD4巻の封入特典として収録された黒澤ルビィのソロ曲『RED GEM WINK』について、気づいたことを書きたいと思います。


全体的な話

『RED GEM WINK』は黒澤ルビィのソロ曲ということで、人見知りだけども芯の強い黒澤ルビィの魅力がたっぷりと詰まったかわいらしい曲となっており、彼女の大好きなスクールアイドルらしい言わば「王道アイドルソング」といった曲となっています。


また、歌詞はまだ恋を知らない女の子が、ドキドキする気持ちに気付いて「これが恋なの!?」と戸惑うような、まさに恋に恋する微熱感が表現されており、畑亜貴先生がウキウキと書いている様子が目に浮かぶようです。

 

黒澤ルビィの印象と歌詞のギャップ

さて、私が初めてこの曲の歌詞を読み、内容を理解しようとした時、一つの違和感を覚えました。

黒澤ルビィで思いつく印象は、例えばこの曲が収録されているBD5巻で、函館でのイベントに参加する曲を自分たち1年生で完成させたり、姉のダイヤに気持ちを伝えたりと、大きく成長した点が挙げられます。

しかし、なぜかこの曲で歌われている黒澤ルビィは、人見知りが激しく自分が言いたいこともうまく伝えられない、登場した当初の頃の印象に近いような感じがしたのです。

 

なぜ、黒澤ルビィの成長したところではなく、成長する前の黒澤ルビィを歌っているのか?その辺りの疑問を念頭に考察に入っていきます。


『RED GEM WINK』は何を歌っているのか?

早速、歌詞を細かく見ていきます。

 

「聞かせてよ あなたの夏のプランを」

「どこか行くなら誘って!」

練習したの さあ声かけなきゃ

…こんなやり取り ムリよあせるわ

高校生にとって「夏のプラン」といえば、夏休みあたりの予定のことでしょう。ということはこの歌の季節は初夏、例えば6月頭辺りであればちょうど黒澤ルビィAqoursに加入する前に当たるでしょう。

 

その頃の黒澤ルビィは、例えば夏休みに「どこにいこうか、誰と行けるか」と計画して、自分から誘うなんてことができるような子ではありませんでした。

 

その彼女にとっての精一杯が「あなたのプラン」を聞いて「誘って!」と伝える作戦だったのでしょう。

 

しかし、それですら尻込みしてしまって勇気が出ないようです。

 

想像だけは(Hot!! my summer time)

大胆なわたし(Please love me, ah!)

見てるだけでは 始まらないとわかってるけど

あと一歩 勇気ください

黒澤ルビィは好きなこと、やりたいことがあっても、たとえばスクールアイドルの真似をしたり好きなアイドルのことを話したりはしていたけれど、それが精一杯で実際にスクールアイドルをスタートすることが出来ませんでした。

 

ただ見ているだけじゃ始まらない」と言われたところで頭ではわかっていても、あと一歩の勇気が出ないのです。

 

LOVE!? 胸にキラキラ光ってる

恋にあこがれる おさえきれない熱さ

LOVE!? それはあなたのせいだと思ってるのよ

気がついて欲しいのに ああっ…まだ言えない!

胸でキラキラと光っている熱さを感じ、これが「LOVE!?」と戸惑います。

その熱さの元となった“あなた”に気がついて欲しいのに、この気持ちを口に出して伝えられるだけの勇気が湧いてこないのです。

 

とくべつな関係って まだ謎だな

どこからそうなるの 知りたい

おたがいに名前で呼んだ時?

それとも腕を組んだ時かな

「とくべつな関係」、つまり憧れの人と一緒になるってことがどんな感じなのか、まだなにもかもが知らないことばかりです。

 

ためいきの数(Hot!! my summer night)

増える夏の夜(Please touch me, ah!)

見てるだけなら 悪いことなどおこらないはず

引き返すなんてつらいな

胸でキラキラと光る熱さ、スクールアイドルが好きだという気持ちを抱えてためいきばかりの夜。

でも好きだと言えない、言ってしまうともしかしたら姉に嫌われてしまうとか、例えばそんな悪いことが起きてしまうかもと想像してしまっているのでしょうか。

 

一方で彼女は、それで諦めてしまうことは「つらいな」とも感じていて、心はまだ迷いをかかえて揺れているのです。

 

RED!! 信号チカチカ進めない 恋は危なくて だから気になる熱さ

RED!! だけど陽射しのウィンクが背中押してる

くちびるが開いても ねえっ…なんでもない!

スクールアイドルが大好きってことを口に出してしまったらいけない、それ以上前に進んでしまったら危険、だからただこっそりと雑誌を見ているくらいしかできないのです。

 

でも、ダメだって思うと余計に気になって仕方がなくなってきます。それはあの真夏の太陽みたいに真っ赤に輝く人の、陽射しのウィンクが背中を押してくれたから。

 

なのに……まだ勇気が出てこないのです。

 

Hot!! my summer

Please love me

 

(なんだろうこの気持ち?ルビィに…ルビィに教えて!)

彼女は悩みます。

夏を前に、気持ちは熱くなっています。

私を愛してください、この気持ちに気づいてください。この揺れる気持ちにどうすれば正直になれるのかを教えてくださいと。

 

my summer LOVE!? 胸にキラキラ光ってる

恋にあこがれる おさえきれない熱さ

LOVE!? それはあなたのせいだと思ってるのよ

気がついて欲しいのに ああっ…まだ言えない!

“あなた”に出会ったことで黒澤ルビィの胸にキラキラと光るときめき、スクールアイドルへの熱い気持ちが生まれたのです。そして、その熱さ、好きだという気持ちを“あなた”に気づいて欲しいと願っているのです。

 

そんな、夜も眠れないくらい張り裂けそうな気持ちになっていても、でもやっぱり彼女はそれだけでは始められないのです。

 

ぐるぐる同じところを回って悩み続けるそんな彼女のうゆかわな所がこの、1番とほぼ全く変わらないサビの繰り返しに表れていますね。


Aqoursへの加入前夜

再度、『RED GEM WINK』とはどんな曲なのでしょうか?だいぶ見えてきたと思います。

 

ずっとスクールアイドルが好きで、でも姉には嫌われたくなくて本当の気持ちを言うことを遠慮してきた黒澤ルビィ

その彼女が、おそらく初めての、本物のスクールアイドルの舞台を見たときに、彼女たちはトラブルで泣きそうになりながらも、それでも「気持ちがつながりそうなんだ」と歌うのを諦めませんでした。


そこには、まだ小さく「キラリ!」と光っただけで動き出したばかりの心がまだ迷って揺れている、それでも「やってみたい」という思いつきの勢いで始めてみた、それでダイジョウブなんだ!という、そんな歌を歌うスクールアイドルの姿がありました。

 

そこには、姉の厳しい言葉にも、

わかってます。

でも…でもただ見てるだけじゃ始まらないって、うまく言えないけど。

今しかない瞬間だから。

 

だから輝きたい!

と毅然と語り、宣言する姿がありました。

 

その姿は、姉に遠慮してただ見ているだけでいいと、そんな風に思っていた黒澤ルビィの目には、とてもまぶしく映ったことでしょう。

 

その衝撃は彼女自身にしかわからないことですが、少なくとも夜も眠れなくなるほどにおさえきれない、心の中にとても熱いものが生まれたということは、何度も歌に出てきます。

 

つまりこの歌は、まさに心の中に「キラリ!」とときめきが生まれた瞬間から、今までで最も心が熱く揺れ動いた6月の、その頃の黒澤ルビィの気持ちを歌っているのでしょう。

 

結論

『RED GEM WINK』とはどんな曲か?それは……

 

黒澤ルビィにとって憧れのスクールアイドルであり、やがて大切な時間を共に過ごすこととなるAqoursとの出会いとなった曲

ダイスキだったらダイジョウブ!』へのアンサーソング

である

というのが今回の僕の考察の結論になります。


おわりに

今回、『RED GEM WINK』について考察して参りましたが、ラブライブ!サンシャイン‼︎第3話『#3 ファーストステップ』は高海千歌たちが初めてのライブを行う話という理解だったのですが、一方で黒澤ルビィにとって長年憧れ続けてきた本物のスクールアイドルのライブを初めて見ることになる、それはとても貴重で、夜も眠れなくなるくらい彼女にとって衝撃的な体験だったのだということに気付かされました。

 

その時の感動、自分の気持ちを、こんなにも可愛らしく、それでいてとても熱く語りかけるように歌えるようになった、そのこと自体がとても大きく強くなった黒澤ルビィの成長であり魅力を表しているのかもしれません。

 

以上です。

ではまた次回をお楽しみに。バイバイ!