サ‼︎ アニメ2期BD 4巻 封入特典『Beginner’s Sailing』について

はじめに


4/17は渡辺曜ちゃんの誕生日ということで、おめでとうございました。大変遅れてしまいましたが誕生日のお祝いのキモチも込めて、ラブライブ!サンシャイン‼︎ アニメ2期BD 4巻の封入特典、渡辺曜のソロ楽曲『Beginner’s Sailing』について、少し語ろうかと思います。

 

予めお断りとして、渡辺曜というキャラは私の推しではなく、彼女に対する理解というのは、推しとされている方のそれには程遠く、間違っている点もあろうことを申し上げておきます。

 

いま私が理解出来ている範囲に限ったあくまで1見解であるとして以下をお読みいただければとおもいます。


渡辺曜の望み


まず、今までの各メンバーのソロ楽曲の傾向から「そのメンバーにとっての輝きとは何か」がテーマとなってきており、今回取り上げる 『Beginner’s Sailing』も渡辺曜の輝きについて歌われているものと捉えるのが自然かと思います。


歌詞を見てピンと来た人も居られるかと思いますが、ここで歌われている情景には1期1話からAqours加入に至るまでに渡辺曜が見ていた景色や心情と重なるところが多いのです。

 

夢はいつも ハッキリしてるわけじゃないの 君を迷わせながら輝いてる

だったらさ まずは風が向いた方へと Sailing


ここは、普通であることに悩み夢に迷っていた高海千歌と一緒に秋葉原駅前に居た渡辺曜が、突如吹いた「風が向いた方へ」駆け出し、そしてμ'sに出会うシーンが思い出されます。

 

笑わないよ!

カタチから入っていいんじゃない?

最初はヘンでも気にしない

大事なのは「好き」がある毎日です!


ここは、失敗するたび人目を気にして諦めたフリをしてきた高海千歌の姿を側で見てきたであろう渡辺曜が、全くμ'sの振り付けと似ても似つかないポーズを取る高海千歌がそれでも「好き」と言っていることに口出しせず受け入れる姿が重なります。

 

つまり明日の朝

昨日の自分がんばったと言えるように

ダメで元々だってさ カラダ動かして

失敗?それこそ一歩目だ!


高海千歌が始めたスクールアイドルに渡辺曜が入るきっかけは、一度は断られたスクールアイドル部設立の申請に翌日「諦めちゃダメなんだ」ともう一度話をしに行く、その姿に高海千歌の「本気」を見たからでした。

 

上記のように歌詞との一致を見ることのできる1期1話当初で渡辺曜が望んでいたことというのは、自身が後に語っている 「昔から千歌ちゃんと何かやりたい」でした。このことが語られたのは1期11話、『#11 友情ヨーソロー』となります。


渡辺曜の見つけた輝き


さて、もし「千歌ちゃんと何かやりたい」、そしてそれが叶うことが渡辺曜の輝きだと仮定すると、1つ違和感を覚える箇所が歌詞にはあります。

 

楽曲の最初から最後にまで、何度も繰り返し歌われる以下のフレーズです。

 

一緒にSailing Beginner’s Sailing みんなも Sailing


1期11話で小原鞠莉との会話で渡辺曜が語った通り、最初「千歌ちゃんと一緒」に始めたスクールアイドルも、桜内梨子や他のみんなの加入により、いつしか渡辺曜高海千歌との距離を感じるようになっていました。


渡辺曜が、ある種の疎外感のようなものを感じることになるその「みんな」のことが、ソロ曲で何度も何度も「みんなもSailing」と繰り返し歌われるということに、私は違和感を覚えたのです。

 

この違和感の原因は、歌詞理解の前提、つまり【歌詞は「1期1話からの加入話」=「渡辺曜高海千歌に求めていたもの」を表現している】という前提にあると考えられます。

 

では渡辺曜の輝きとは何だったのかを整理すべく、1期11話を振り返ってみます。


1期11話『#11 友情ヨーソロー』では中盤まで、「千歌ちゃんと何かをやってみたかった」と入ったスクールアイドルの活動も、いつしか仲間が増えたことで「千歌ちゃんと一緒」という感覚が薄れ、そして悩み始める渡辺曜が描かれました。


そして彼女は彼女自身に原因を求めます。 彼女の持つなんでも器用にこなす技量から、高海千歌に敬遠されてしまったのでは、と。

そしてその悩みはいつしか桜内梨子への嫉妬のようなものへと変わってしまいます。※曜ちゃんのどん底がここですね。

 


しかし、そんな渡辺曜に掛かってきた桜内梨子からの電話で、高海千歌が話していたという言葉を聞きます。

 

 だからスクールアイドルは絶対一緒にやるんだって。絶対曜ちゃんとやり遂げるって


そして渡辺曜を訪ねてきた高海千歌の「曜ちゃんと私の二人で」の言葉、これら言葉にまた彼女は瞳に輝きを取り戻すのでした……

 


渡辺曜が聞きたかったこれら高海千歌の言葉は、渡辺曜自身が輝きに気付くきっかけとなります。

つまり、「高海千歌渡辺曜」という形式、カタチから入った渡辺曜はそこに拘っていた自身を「バカ曜だ」と言い表しましたが、そのカタチはこの瞬間から「自分一人じゃなくて誰かと手を取り合いみんなで一緒に」へと変化したのです。

 

“輝き”とは桜内梨子渡辺曜、普通のみんなが集まって作るものであり、さらに「その“輝き”が学校や聴いてる人に広がっていく、繋がっていく」、そういうものへと昇華したのです。

 

それが歌詞の「みんなもSailing」に込められた渡辺曜の気付いた“輝き”なんじゃないか、というのが私の考えです。

 

おわりに


当初、私にとって渡辺曜というキャラは、つかみどころのない「何をやりたいのかよくわからない」キャラという印象がありました。

 

しかし、今回『Beginner’s Sailing』を考察するにあたり、彼女について調べていくうちに、自身の持つ“完璧超人”のような器用さに悩んでしまう、ひとりの多感な少女の姿を見つけることができたと思っています。

 

渡辺曜の魅力を少しながら、新たに発見できたこの曲に感謝します。