メンバー加入話で比較するラブライブ !

はじめに

今回はラブライブ !(以降、無印)とラブライブ !サンシャイン‼︎(以降、サ‼︎)のアニメシリーズを、初期エピソードである「メンバー加入」の面から比較してみようと思います。

 

物語全体におけるメンバー加入話の位置付け

無印もサ‼︎も、メンバーの加入は物語序盤での中心的なエピソードですが同時に、物語全体のテーマ、方向性が決まる重要なエピソードになっています。

メンバーそれぞれが加入時に抱えている悩みや想いを描く加入話では、

  • 今後スクールアイドルとしてどのように成長していくのかというメンバー自身の方向性
  • お互いどのように悩みや想いを打ち明け解決していくのかといったメンバー同士の関係性
  • メンバーの加入が象徴する物語のテーマがどのように表現されているのか

といったあたりが重要になってくると思います。

 

μ's、Aqoursそれぞれ9人ずつの加入エピソードがありいずれも重要ですが、その中でも今回取り上げるのは「加入が1話以上を使って描かれたメンバー」で、特に物語のテーマ性が強く現れていると思います。

 

加入に1話以上使って描かれたメンバー

加入に1話以上使って描かれたメンバーは以下の4人になります。

 

(*)『#8 やりたいことは』では東條希とともに加入しますが、『#7 エリーチカ』と合わせて絢瀬絵里は2話を費やしていると捉えています。

 

絢瀬絵里桜内梨子の加入時期の違いについて

前回の記事で触れた通り、無印の絢瀬絵里とサ‼︎の桜内梨子の2人は共にそれぞれの物語のテーマを色濃く反映した主役的な役割を担っているという共通点がありますが、その加入時期は真逆になっています。


絢瀬絵里は7〜8話という、1期の中頃、メンバー加入フェーズの最後期に加入しています。

彼女は、学校存続のために、生徒会長としての義務感で努力していましたがそのことが彼女自身を苦しめていました。しかしμ'sへ加入して、友情を信じられるようになり、学校の存続、そして皆が幸せになれる場所へと変えることができるようになるのでした。

 

彼女の最後期での加入には、学校存続のためにある意味「空回り」する姿を描く期間が物語構成上必要だったためという理由が考えられます。 加入後は、9人初のライブでワンダーゾーンを歌い、友情の大切さを描いた後、1期の最終話に向けて話が急展開していくことになります。


一方、桜内梨子は2話という、1期の最初期に加入しています。

彼女は、輝けるものをピアノに感じられなくなって内浦へやってきました。しかしAqoursへ加入し、メンバーたちと共に時間を過ごしていくうちに、ピアノへまた向き合うことができるようになるのでした。

最初から加入することで少しずつ仲間が増えていくその場に居合わせ、Aqoursメンバーとの大切な時を共に歩んでいく姿が描かれていきます。


この2人の加入時期の違いは、正に無印とサ‼︎の描いているテーマの違いによるものだと理解することができるでしょう。

 

1期5話という共通点

一方、無印とサ‼︎それぞれの1期5話に1話分丸々使い加入が描かれたのが矢澤にこ津島善子です。

 

無印1話5話とはどんな話だったのか

矢澤にこの加入する無印1期5話『#5 にこ襲来』はどんな話だったか、振り返ってみましょう。


前回の4話で1年生を仲間にした高坂穂乃果たちは、「5人以上」という部活動新設の条件をクリアするも、絢瀬絵里に一蹴されてしまいます。 すでに「アイドル研究部」があるという理由を付けられていましたが、要するに学校存続への強い想いを持つ絢瀬絵里を引き入れるだけのものが伴っていなかったのです。


東條希の勧めで矢澤にこが部長を務めるアイドル研究部を訪れる高坂穂乃果たちですが、アイドルへの強いこだわりを持つ矢澤にこには逃げられてしまいます。
どうすれば矢澤にこに認めてもらえるか悩むメンバーらに対して、幼少の頃を思い出した高坂穂乃果は妙案を思いつきます。 幼馴染の南ことりと遊んでいたときの園田海未と仲良くなった頃と同じだと言い出します。 幼少の頃の高坂穂乃果南ことりが初めて園田海未と仲良くなりともだちになった時と同じ方法で、矢澤にこをμ'sのメンバーとして迎えるのでした。


矢澤にこのアイドル研究部にμ'sが合流する形で、部としての活動ができるようになります。 これは、1話で提起されていた「部として活動しなければ何も手の出しようがない」という問題が友情によって解決される様子が描かれており、正に無印ラブライブ !のテーマそのものが描かれたエピソードと言えるでしょう。

 

サ‼︎1期5話とはどんな話だったのか

一方、津島善子の加入するサ‼︎1期5話『#5 ヨハネ堕天』とはどんな話だったのでしょうか。振り返ってみましょう。


最初に津島善子の悩みが描かれます。 入学初日にクラスでの自己紹介で堕天使ヨハネが出てしまい失敗した津島善子は、学校に行かけなくなり、家ではネット上で堕天使ヨハネの姿で占いの動画を配信しますが、それが終わってからは自己嫌悪に陥ります。 普通の女子高生、リア充になると意気込む津島善子国木田花丸の助けを借りて学校に来ますが、ふとした瞬間に皆の前で堕天使キャラが出てしまい、またまた落ち込んでしまいます。


一方、「普通な私の日常」に輝くものを求めてAqoursを始めた高海千歌は、スクールアイドルのランキングが気になり、何か目立つことをやらないといけないと悩みます。 そこに津島善子のネットでの占い動画を見て、堕天使アイドルをやろうと言います。

 

奇抜な堕天使アイドルの動画によりランキングが急上昇しますが、黒澤ダイヤには破廉恥だと怒られてしまい、ランキングもすぐに下がってしまいます。 堕天使アイドルのアイディアを黒澤ダイヤに怒られてしまい落ち込んでしまうAqoursたちの姿に、津島善子は堕天使だとやはり人には受け入れられない、自分の居場所はここではないと感じ、Aqoursから去ってしまいます。


残されたAqoursたちに幼馴染の国木田花丸は、津島善子の「“普通”であることは本当の私じゃない、本当のワタシがどこかにいるはずだ」という思いが現れたのが堕天使の姿だと語ります。 津島善子もまた「普通」であることに悩み、そして“堕天使”という自分の輝きを追い求め、居場所を探しているのだと知った高海千歌はこう彼女へ語りかけます。

 

ステージの上で自分の好きを迷わずに見せることなんだよ。

お客さんにどう思われるかとか、人気がどうとかじゃない。

自分が一番好きな姿を、輝いてる姿を見せることなんだよ。

だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ。

 

自分が堕天使を好きな限り!


普通ではない自分、堕天使こそがアイデンティティである津島善子は、これを受け入れてくれた高海千歌たちAqoursの一員となり、“輝き”=自分が一番好きな姿を追い求めることになります。

 

これは、「普通」のAqoursたちが自分の好きなこと「夢」に向かって全力で走って、一緒に過ごすその時間が“輝き”になるということを描いており、正にラブライブ !サンシャイン‼︎のテーマそのものが描かれたエピソードと言えるでしょう。

 

1期5話の重要性

同じタイミングで描かれ、同じく自身の一人称をサブタイトルに含む、1期5話という2人の加入話とは、どちらもメンバー9人が揃う直前のエピソードという位置にあり、ギャグ的な演出を挟みながらも今後の物語の方向性が明確になる回でした。

どちらもそれぞれの物語のテーマが色濃く反映された重要なエピソードという共通性が言えるでしょう。

 

結論

今回の考察では、μ's、Aqoursのそれぞれのメンバー加入話について比較してみました。

 

ここで明らかにした相違点、共通点からは、いずれの加入話も、無印、サ‼︎それぞれの物語のテーマを色濃く反映し、今後のストーリーを方向付ける重要なエピソードだということがわかり、掘り下げることでまたキャラの新たな魅力に気付くことができました。

 

今回取り上げられなかった他のメンバーの加入回もそれぞれ、キャラの良さを引き出しつつμ's、Aqoursとの関係性が明確になる重要なエピソードだと思っており、またいつか他のメンバーについても掘り下げていくぞ!……と思った次第です。

 

それではまた次回。ばいばい!

 

 

👿「だから善子じゃなくてヨハネよ!」

ラブライブ!物語考察

はじめに

桜内梨子は当初のキービジュアルや設定から、西木野真姫との対比の中で語られることが多かったように思います。

しかし、ラブライブ!サンシャイン‼︎(以下サ‼︎)2期アニメを経て振り返ってみると、その比較に私は違和感を覚えるようになっていて、「なんで違和感があるんだろう?」というのが今回の考察です。

 

ちなみに、元々μ'sとAqoursのキャラを比較するようなことを私は今までしてこなかったのですが、メンバーにはそれぞれ物語進行上の役割があるし、それはμ'sの誰かの役割をAqoursでは誰かが担っていたり、一人が複数を兼任していたり、途中で変わることもあると思ってます。

 

ここで言う物語進行上の役割というのは、見た目や特技が共通であるとかそういうことではなく、主人公であったり物語の転機となるような役のことを指しているのですが、そのキャラが担う役割を理解する事でラブライブ!の物語やそのキャラたちのことをより深く理解し、より楽しめるようになるんじゃないかな〜っとか考えています。

 

それで宜しければ、しばしお付き合い頂ければと思います。

 

ラブライブ!とはどんな物語だったのか

では早速本題ですが、桜内梨子の役割と、μ'sではその役割は誰が担っていたのか、という所に注目して第1シリーズの「ラブライブ!」(以下無印)とサ‼︎を見比べてみました。

この2つのシリーズには、似ているシーンも多く、「学校廃校とそれを阻止するスクールアイドル」というモチーフも共通しています。しかし、描いている物語には大きな違いがあります。

そこの違いをまずはおさらいしておきます。

 

無印とはどんな物語だったのか

無印1期では、高坂穂乃果が学校が廃校するとの知らせに対して「何かできないか?」とμ' sを始めます。

そんな中、スクールアイドルの曲作りやメンバー集めといった苦難のほか、学園祭での失敗や南ことりの留学といった問題がμ'sには訪れました。

高坂穂乃果はそのことで自信を無くしてしまいますが、仲間からの支えもありスクールアイドルを再び始めることを決意します。

 

2期では様々な苦難から立ち直った高坂穂乃果は、 みんなが楽しく過ごせて幸せになれる、そんな学校にしようと生徒会長として奔走します。

個々のメンバーらの持つ想いや悩みを一つずつ分かち合いながら、μ'sは結束を強くしていきます。

そしてなんやかんやあってラブライブで優勝します。

 

つまり無印とは「降り掛かる様々な苦難をμ'sたちが力を合わせて乗り越える姿」を描くことで、「友情を信じて諦めずに夢を追い続けることで願いは叶う」という話でした。

 

サ‼︎とはどんな物語だったのか

サ‼︎1期では、取り柄のない普通の高海千歌が、輝きを探してAqoursを始めます。

それぞれの悩みを抱えたメンバーたちが、加入したAqoursに自分たちの輝ける場所を見出します。その輝きはやがて大きくなり、学校のみんなや町中の人を照らし始めます。

 

2期ではラブライブの地区予選では敗退したものの、学校存続に向けて走り続けるAqours。しかし努力も虚しく、学校は廃校が決定してしまいます。

目的を見失いそうになる千歌たちに、学校のみんなから輝く方法を教えられ、またラブライブ優勝へ向けて走り出します。

そして高海千歌は、ずっと自問してきた「輝きとはなんなのか」に答えを見つけラブライブに優勝しました。

 

つまりサ‼︎とは、「夢に向かって全力で足掻き走り続けるAqoursたちの姿」を描くことで、「一歩一歩目的に向かって、みんなと一緒に過ごしてきたことの全てが大切な時間になる」という話でした。

 

桜内梨子の役割とは?

さて、桜内梨子とはサ‼︎でどんな役割を果たしたのでしょうか。

 

まず、μ'sに憧れてスクールアイドルになりたくてうずうすしている高海千歌に、μ'sと同じ音ノ木坂学院から転校してきた少女として桜内梨子が出会うことで、Aqoursの物語が転がり始めました。

 

長年続けてきたピアノに輝くものを感じられなくなり、ピアノから逃げるようになっていた桜内梨子自身にとって、この高海千歌との出会い、そしてAqoursと共に過ごした時間は、ピアノや色んなことから目を背けずに向き合えるようになり、やがて輝きを取り戻すことができるようになるきっかけでした。

 

このことは、「夢に向かって全力で足掻き走り続けてきたことの全てが大切な時間になる」というサ‼︎アニメ全体に流れる大きな物語そのものを象徴しているのかもしれません。

 

つまりサ‼︎アニメで桜内梨子は、物語全体を象徴したもう一人の主人公だった、と私は考えています。

 

桜内梨子の役割はμ'sでは誰が担っていた?

では、サ‼︎で桜内梨子が担っていた役割を、無印ではμ'sの誰が担っていたのでしょうか?

 

私の注目したキャラは絢瀬絵里です。

 

絢瀬絵里は、当初音ノ木坂学院の生徒会長として学校を救おうと考えるあまり、逆効果になるかもしれないμ'sの活動へ反対していました。

 

しかし、彼女の責任感の強さは、μ'sだけでなく実は彼女自身をも苦しめていました。

 

無印2期最終話にて、絢瀬絵里は生徒会長だった頃を振り返り、「何かに追われてるような感じで、全然余裕がなくて、意地ばかり張って」と息苦しさのようなものを感じていたと高坂穂乃果へ打ち明けています。

彼女だけの力では苦しむばかりで叶いそうもなかった望みが、μ'sに入ることでみんなとの友情に助けられ、やがてみんなが楽しく過ごせる素敵な学校にするという彼女の望みが叶うことになりました。

 

このことは、「少女たちが友情に支えられながら諦めずに苦難を乗り越えることで願いは叶う」という無印の物語を象徴しているのかもしれません。

 

まとめ

以上のことから、μ'sのリーダー高坂穂乃果Aqoursのリーダー高海千歌を中心に描かれるラブライブ!の2シリーズですが、そこで描かれた物語を最も象徴的に表していたキャラ(=もう一人の主人公)はそれぞれ、絢瀬絵里桜内梨子だったのでは……というのが今回の私の考察になるわけですが、皆さんの考えはいかがでしょうか?

 

それではまたお会いしましょう。バイバイ!

 

 

はじめましてのご挨拶 - QhooLwo

はじめまして私はQhooLwo、IT系企業に勤めて十数年、関西の小さな町に暮らすラブライブ!が好きな何にも考えていない17歳です。

 

……というわけで、ブログを開設してみました!

 

今までTwitterhttps://www.twitter.com/qhoolwo)では思いついたままにラブライブ!の感想とか考察のようなものとかを書いてたりするんですけど、文字の制限だったりあちこちに散らばってたりしてなかなか読み辛かったんですね。

なので、改めてきちんとまとめる場所が欲しいな〜思い、これからはブログという形にしていこうかなと思ってます。

 

今回はご挨拶ということで、特に考察とかはないんですけど、これから何か思いつくことがあればまとめていこうかなと思ってます。

 

それでは、以後よろしくお願いします〜またね!